武蔵美を受験するにあたって、初めはとても不安でした。学科がまったく出来なかったことと、自分の個性を出す絵を描くのが苦手だったからです。しかし、それは入学後も必ず克服しなければならないことと思い、一生懸命取り組もうと決めました。先生に頼んで夜間特訓の課題を描きたいモチーフにしてもらったり、分からない点は積極的に質問するようにしました。見せ場が曖昧なまとまらない絵ばかり描いていたのが、入試が近づくにつれ徐々に自分のイメージを具体的に表現出来るようになり、入試本番ではモチーフを見た時の「きれいだな」と思った印象をそのまま描くことができました。学科も最初、四十点位しか取れないほど悪かったのですが、ふな美の学科だけで安定して合格点に達するようになりました。また、参考作品が充実していたことや、ライバルや先生方との関わりもとても良い環境だったことが、高い意識を持って勉強に取り組めた大きな要因だと思います。

高二の春にふな美に入学しました。基礎科で一年間過ごすうち、自分のやりたいことや、進路が見えてきました。しかし受験科に進んでからは、上手、下手にとらわれてしまって、モチーフも自分の絵も何も見えなくなりました。浪人してからも焦りと不安でいっぱいでしたが、入試直前になり、基本を見直すことの大切さに気がつきました。このことに気がつけたのは、ふな美に通って絵を描いて、先生方からのアドバイスを受け、自分でもいろいろ考えて、たくさん失敗してきたからだと思います。ふな美では本当に多くのことを学びました。三年間ありがとうございました。