創立者あいさつ

明日への美術に向けて

どんな素晴らしい芸術家やデザイナーにも、そのスタートの時点においては、自然や事物をよく観察して描いたり、 イメージしたり、感覚的論理を応用したりするなどの制作体験の継続と地道な研究、模索がありました。

今、その初めに位置する諸君も同様に、新鮮で豊かで自由な感動や、無心にものをとらえて描くこと・造ることの行為等を積み重ね、 造形思考や、意識、技術を深めるとともに、何よりも情熱の持続なくしては自己の感性や表現力を豊かに開花させることはできないでしょう。

美術やデザインを学ぶことが、美しさや生命を愛し、人々に限りない夢や希望を与えるとともに、 自己の生きがいや共に生きる喜びを創造する可能性を大きく秘めている限り、これからも益々自由な魅力あふれる展開を見せてくれることでしょう。

現在の個性化、多様化する美術状況は「伝統的なものに根ざす創造」と、従来とは発想や技術・素材等の異なる「新しい分野での創造」を志向する流れが、 相互に影響しつつ未来の美術に向かっているように思われます。 芸大美大入試もますます多様化してきましたが、それを超えていくには、 高い目標を持ち、しっかりとした基礎力と豊かな感性や知性に支えられた「確かな表現力・創造力」が必要です。 明日への美術に向けて、皆さんの若さ溢れるエネルギーに期待します。

ふなばし美術学院 創立者鈴木 善雄